はじめに|福祉用具はいつから存在したのか?
現在、介護現場では車椅子、介護ベッド、歩行器、手すりなど、さまざまな福祉用具が使われています。
高齢者や障害のある方が「自分らしく生活する」ために欠かせない福祉用具ですが、実はその歴史は現代になって突然生まれたものではありません。
昔の人々も、身体が不自由になった人を支えるために、生活の中でさまざまな工夫をしてきました。
今回は、戦国時代から幕末、明治、大正、昭和を経て、現在の福祉用具がどのように発展してきたのかを紹介します。
福祉用具の歴史① 戦国時代|戦傷者を支えた道具
戦国時代は、多くの戦が行われた時代です。
戦によって手足を失った武士や、身体に障害が残った人も少なくありませんでした。
当時、現在のような「福祉用具」という考え方はありませんでしたが、身体を補助するための道具は存在していました。
戦国時代に使われた身体補助の道具
戦国時代には、現在のような「福祉用具」という考え方はありませんでした。しかし、戦で負傷した人や身体が不自由になった人を支えるための道具は存在していました。
たとえば大河ドラマ「軍師官兵衛」では、脚を負傷した主人公・黒田官兵衛が杖を突いて歩いていましたね。戦国時代にも、身体を支える道具が使われていたことが想像できます。
また、戦で負傷した人だけではなく、高齢者や病人も家族や地域で支える「家族介護」が中心でした。
現代のような介護サービスはありませんでしたが、人の手による支援が福祉の役割を担っていた時代です。
福祉用具の歴史② 幕末|西洋医学と新しい技術の導入
幕末になると、日本は海外との交流が増え、西洋医学や西洋技術が入ってきました。
これにより、身体の機能を補う道具についても新しい考え方が広まりました。
幕末に広まったもの
江戸時代から幕末にかけては、蘭学(西洋医学)が普及した影響により、医学が発展してきました。徐々に身体障害への理解も増えて来たと想像できます。
ただし、当時は障害や高齢者を「家族が面倒を見るもの」と考える社会であり、公的な福祉制度はまだありませんでした。
福祉用具の歴史③ 明治時代|近代化による福祉への変化
明治時代になると、日本は近代国家へと変化していきます。
医療技術も発展し、障害者や傷病者への支援についても少しずつ制度化されていきました。
また、福祉用具の種類も徐々に増えてきたのもこの頃でした。
明治時代に登場した福祉用具
明治時代になると、義手や義足をはじめとする福祉用具が増えてきました。明治時代の錦絵には、「手漕ぎ三輪」と呼ばれる車いすのような形の乗り物も描かれています。
現代の車椅子とは形状が異なりますが、自分の力で移動するための補助具として、後の車椅子文化につながる存在だったと考えられます。
恐らく、日清戦争・日露戦争では、多くの傷病兵が発生したため、義手や義足など身体機能を補う技術が発達したのだと考えられます。
しかし、この時代の福祉用具は主に「戦傷者や医療目的」のものであり、一般家庭で広く使われるものではありませんでした。
福祉用具の歴史④ 大正時代|障害者支援への関心が高まる
大正時代になると、社会福祉という考え方が少しずつ広がります。
工業化や都市化によって、身体障害者や高齢者への支援について考えられるようになりました。
大正時代の福祉用具
- 車椅子
- 義足
- 補助杖
- 装具
などが使用されました。
また、海外の福祉思想が紹介され、日本でも「障害があっても社会の中で生活する」という考え方が徐々に生まれていきました。
福祉用具の歴史⑤ 昭和時代|介護用品が大きく発展
現在の福祉用具につながる大きな変化が起きたのが昭和時代です。
特に戦後、高齢化や医療技術の発展によって、介護を必要とする人が増えていきました。
昭和時代に普及した福祉用具
リクライニングベッドは、昭和に入ってから一般家庭に普及されてきました。
特に1960年代以降、医療機関や施設で使用されていたベッドが改良され、家庭でも利用できる介護ベッドへ発展していきました。
また、1980年代以降は高齢化社会への対応が求められ、介護用品メーカーによる商品開発も進みました。
福祉用具が現在のように普及したのはいつ?
現在のように福祉用具が一般家庭でも利用されるようになった大きなきっかけは、2000年に始まった介護保険制度です。
介護保険制度では、
- 車椅子
- 介護ベッド
- 手すり
- 歩行器
- 杖
- スロープ
- 自動排泄処理装置
などの福祉用具を、レンタルという形で利用できるようになりました。
それ以前は、福祉用具は「購入するもの」というイメージが強く、費用面で利用をためらう人もいました。
介護保険によるレンタル制度の開始によって、必要な人が必要な期間だけ利用できる仕組みが整ったのです。
福祉用具はレンタルできる?自己負担額はいくら?
現在、介護保険を利用すると、対象となる福祉用具はレンタルできます。
福祉用具をレンタルする流れ
- 要介護認定を受ける
↓ - ケアマネジャーに相談する
↓ - 福祉用具専門相談員が身体状況に合わせて選定する
↓ - 福祉用具事業所と契約して利用開始
という流れになっています。
レンタル対象になる主な福祉用具
- 車椅子
- 車椅子付属品
- 介護ベッド
- 介護ベッド付属品
- 床ずれ防止用具
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 手すり
- スロープ
などがあります。
自己負担額
介護保険を利用した場合、基本的には費用の1割負担です。
ただし、所得によっては、
- 2割負担
- 3割負担
になる場合があります。
例えば、月額レンタル料が1万円の介護ベッドの場合、
- 1割負担 → 月1,000円程度
- 2割負担 → 月2,000円程度
- 3割負担 → 月3,000円程度
となります。
※利用する福祉用具や事業所によって料金は異なります。
※詳細は、各自治体に問い合わせてみてくださいね。
福祉用具の今後の課題
便利になった福祉用具ですが、まだ課題もあります。
その課題についても見ていきましょう。
① 本当に必要な人へ情報が届いていない
福祉用具は種類が多く、「何を使えばいいかわからない」という人もいます。
介護が必要になってから慌てるのではなく、早い段階から情報を知ることが重要です。
② 福祉用具専門相談員の役割
福祉用具は、ただ借りれば良いものではありません。
利用者の身体状況や生活環境に合わせて選ぶ必要があります。
そのため、
- 福祉用具専門相談員
- ケアマネジャー
- 介護職
など、多職種の連携が重要になります。
③ 最新技術との融合
今後は、
- AIを活用した見守り機器
- ロボット技術
- ICT機器
- 電動アシスト機器
など、新しい福祉用具の発展が期待されています。しかし開発の費用面や普及率など、こちらもまだまだ課題が多いポイントです。
何より、介護はただ便利にするだけが課題ではありません。「その人らしい生活を支える道具」として進化していくことが求められています。
まとめ:福祉用具は人を支える歴史そのもの
福祉用具の歴史を振り返ると、昔から人は身体の不自由さを補うために工夫を重ねてきました。
戦国時代の義手や杖、幕末以降の西洋技術、昭和時代の介護用品の発展を経て、現在では2000年に始まった介護保険制度によって、多くの人が利用できる身近な存在になっています。
福祉用具は単なる「便利な道具」ではありません。
高齢者や障害のある方が、自分らしく暮らし続けるための大切な支援のひとつです。
これから高齢化がさらに進む中で、福祉用具はますます重要な役割を担っていくでしょう。
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その代表が「靴」です。
介護現場では、「できるだけ自分の足で歩きたい」という利用者さんの声を多く聞きました。
歩くためには、身体状態に合った靴選びがとても大切です。
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